マンキュー経済学を噛み砕いてみる「相互依存と交易からの利益」

マンキューミクロ経済学、第3章の内容です。

いつも通り設問を並べて、解答・解説の順でまとめてみます。

また、第2版ではありますが、大学の講義で使用しているものを見つけたので、そのスライドも適宜使用しながら解説していこうかと思います。

現代経済の寓話

問1 どのような場合に、生産可能性フロンティアは、外向きに膨らまずに直線になるのだろうか?

問1について

問1:模範解答

2財を一定の比率で入れ替えることができる時、生産可能性フロンティアは直線になる。

前回の記事で、生産可能性フロンティアは曲線になる、と書きました。

その理由は、あらゆる時点において、2財の機会費用が変化するため、でした。

しかし、この2財を、機会費用を変化させずに生産することができれば、話は別です。

いま、農夫と牛飼の二人がいるとしましょう。

農夫は60分で1オンス(28g)の牛肉を、15分で1オンスのジャガイモをつくることができます。

また、牛飼は20分で1オンスの牛肉、10分で1オンスのジャガイモがつくれるとします。

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この時、たとえば農夫は労働時間を1時間減らして、ジャガイモの生産の労働を1時間増やせば、牛肉の生産量は1オンス減って、ジャガイモの生産量は4オンス増えます。

この比率は、どのように生産活動を分配しようと、変わることはありません。

なので、生産可能性フロンティアは直線になるのです。

両者の生産可能性フロンティアは、以下のようになります。

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前回の曲線の生産可能性フロンティアでは、その定義を

1個人が2つの財だけを生産し、かつ全ての生産要素を2財に使用する、というものでした。

しかし、今回の生産可能性フロンティアでの定義は少し異なります。

2個人が2つの財を生産し、かつ生産要素が労働時間に限定されています。

なので、2個人で生産を行うとしても、生産要素が同じであるとすれば、話しは変わってくるでしょう。

たとえば、牛飼とジャガイモの生産に同じ肥料が必要だ、などという課題が生じた時です。

比較優位:特化をもたらす力

問2 絶対優位と比較優位の違いを説明しなさい。

問3 一方の人がある活動において絶対優位を保っているが、比較優位はもう一方の人にあるような例を挙げなさい。

問4 絶対優位と比較優位のどちらが交換にとって重要だろうか。問題3で挙げた例を用いて説明しなさい。

問5 取引が比較優位に基づいており、双方が利益を得る場合、取引の価格はどのような範囲になければならないか。

問2、問3について

問2:模範解答

絶対優位とは、一つの財に関して、その生産性によって生産者を比較した時、生産性の高い優位のことをいう。

比較優位とは、一つの財に関して、機会費用を比較した時、機会費用が低い方が高い優位のことをいう。

両者の違いは、その生産費用の違いにあるといえる。

両者の違いを、牛飼と農夫の例を見て説明しましょう。

絶対優位を持っているということは、ある財を生産する時、より少ない投入量で生産ができるということ。

今回の例で投入するものは労働時間だけなので、牛飼はジャガイモと牛肉の両方の生産について絶対優位を持っています。

牛飼は、どちらの財を生産するにしても、農夫ほど時間がかからないのです。

対して、比較優位というのは、ある財を生産する時、より機会費用が少ないということ。

機会費用とは、あるものを獲得する代わりに失わなければならないもの、という意味でした。

牛肉の機会費用、つまり牛肉をつくるのに諦めなければならなかったジャガイモの量を考えてみましょう。

農夫が牛肉を1オンス生産する時の機会費用は、ジャガイモ4オンス分です。

牛飼が牛肉を1オンス生産する時の機会費用は、ジャガイモ2オンス分です。

次に、ジャガイモをつくるのに諦めなければならなかった牛肉の量を考えてみます。

農夫がジャガイモを1オンス生産する時の機会費用は、牛肉1/4オンスです。

牛飼がジャガイモを1オンス生産する時の機会費用は、牛肉1/2オンスです。

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この時、牛飼は牛肉の生産に比較優位を持っており、農夫がジャガイモの生産に比較優位を持っているということがわかります。

簡単にいえば、あるものを生産する時、あきらめなければならない物が少ないことを、比較優位を持つということですね。

この例をそのまま問3の解答に使えば良さそうです笑

問3:模範解答

農夫は60分で1オンスの牛肉を、15分で1オンスのジャガイモをつくることができ、牛飼は20分で1オンスの牛肉、10分で1オンスのジャガイモがつくれるとする。

この時、農夫はジャガイモの生産において絶対優位を持っているが、比較優位は持っていない。

問4について

問4:模範解答

各人が比較優位を持っている財の生産に特化すれば、経済の総生産は増加する。

交換は、比較優位を持っている財への生産に特化することを可能にすることから、交換においては比較優位の方が重要である。

農夫と牛飼が、全く取引を行わない時、農夫は牛肉を4オンス、ジャガイモを16オンス生産し、牛飼は牛肉を12オンス、ジャガイモを24オンス生産する。

この時の総生産は56オンスである。

ここで、両者が取引を行い、農夫は比較優位のあるジャガイモの生産に全ての労働時間(8時間)を費やし、牛飼は6時間を牛肉生産に、2時間をジャガイモ生産に費やしたとする。

この時、農夫はジャガイモを32オンス生産し、牛飼は牛肉を18オンス生産し、ジャガイモを12オンス生産する。

結果として、総生産は62オンスとなり、取引を行わない時よりも増加している。

取引によって消費機会が異なる例を、もう少し詳しく見てみます。

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模範解答では、総生産量の増加にしか目を向けていませんが、両者にとってWinWinなのか?

このままだと牛飼の一人勝ちではないか?という意見もあるかもしれません。

そこで、取引の例も含めた以下の図を見てみましょう。

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農夫は、15オンスのジャガイモと交換に、5オンスの牛肉をもらいます。

牛飼は、牛肉を5オンスと交換に、15オンスのジャガイモをもらいます。

つまり、ジャガイモ3オンスを牛肉1オンスで交換しているのです。

この交換によって、両者とも取引を行わなかった時より、その生産量が増加しています。

ここから、両者にとってもWinWinゲームである、ということがわかります。

問5について

問5:模範解答

取引の価格は、両者の機会費用の中間になければならない。

これも農夫と牛飼の例を用いて説明しましょう。

上の表にでは、ジャガイモ3オンスを牛肉1オンスで交換していました。

なぜ、この交換比率に落ち着いたのでしょうか?

それは、牛飼の機会費用(牛肉1オンスあたりジャガイモ2オンス)と、農夫の機会費用(牛肉1オンスあたりジャガイモ4オンス)との間である必要があるためです。

両者が利益を得るには、これらの間であればいいので、牛肉1オンスあたり2・5オンスでもよければ、牛肉1オンスあたり3・5オンスでも構いません。

両者が得る財は変化するものの、取引する前よりかは必ず生活水準は向上するのです。

比較優位の応用例

問6 国は、比較優位を持つ財を輸出するのと輸入するのと、どちらの傾向があるか、説明しなさい。

問7 なぜ経済学者は国際貿易を制限する政策に反対するのか

問6、7について

問6:模範解答

国は、比較優位を持つ財を輸出する傾向にある。

その方が、国内におけるあらゆる財の生産量が向上するためである。

問7:模範解答

比較優位の原理に基づけば、両国が比較優位を持つ財に特化して生産を行えば、両国とも特になると考えるため。

問5までで解説した、比較優位の原理を貿易にまで取り入れた応用例ですね。

ただし、牛飼と農夫レベルではこの原理が成り立つとしても、何十億もの人と人の間での取引では、通用しない可能性があります。

たとえば、比較優位の原理では、国と国の総生産は向上したとしても、一国内における経済格差を広げてしまうかもしれません

つまり、比較優位の原理を貿易に応用した場合、様々な問題が生じるということです。

それらの可能性にまで視野を広げて、比較優位論は述べる必要性がありそうです。

おわりに

今回で3章の内容をまとめ終わりました。

比較優位のお話は、高校経済でもリカードの比較生産費説のところで勉強しますよね笑

なので、結構経済界では常識となっているのでしょう。

高校の時は深く考えずに覚えていましたが、噛み砕くと絶対優位や比較優位のお話まで出てきて、なかなか面白いですね!

最後に、参考文献などを示して、終わりにしたいと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

参考文献・URL

分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、これ見たらいいです。

もっとわかりやすく、全体像をつかむことができます。

『OUTPUT保管庫 マンキュー経済学 ミクロ編 第3版 第3章 復習問題』

今回の章の復習問題の別解答。特に問3の解答例がわかりやすいです。

講義スライド

URLから見るに、東洋大学の教授がまとめたものでしょうか?

マンキュー経済学のほとんどの章を経済スライドにしており、とてもわかりやすいです。

この記事でも多く図を引用させていただきました。

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