ミジンコでもわかるマーケティング論のノート:実践例(新しいラーメン屋の出店を例に)

実践のためのチェックシート

マーケティングの基本について、これまでの内容を実践例でおさらいしていきましょう。

以下の項目に従えば、基本に忠実なマーケティングが行えるようになっています。

今回は、私の好物のラーメンを参考に、新しくラーメン屋を開くと仮定して架空の回答を記していきます。

1.そもそも、何を売りたいんですか?簡単でいいので教えてください。

あさりだったり、きのこだったり、「旨み」を凝縮した塩ラーメンをつくりたいなぁ。

2.客の立場から、その商品を買いたいかどうか考えてみてください。

最近家系とか魚介系とんこつが多すぎるんだよなぁ。何だか新しいラーメンを食べてみたい。

3.ターゲットを決めましょう。

こちらのノートを参考に、4つの基準からターゲットを絞っていきます。

(1)地理的基準からみたターゲットは?

住んでいる場所が大阪だし、最近阿倍野ハルカスなんかで栄えてきた天王寺・阿倍野なんかに店を構えよう。駅前だから人も多いしね!

(2)人口統計基準からみたターゲットは?

年齢的には10代後半の学生から、50代付近までのサラリーマンまで幅広く対応できそう。

男性の方がラーメンを食べる人が多いけど、女性もターゲットとして狙いたいなぁ。

(3)心理的基準からみたターゲットは?

1人でも、女性でも入りやすいようなお店がいいなぁ。あと、あまり明るくない人でも頼みやすい雰囲気をつくったらいいかもしれない。

(4)行動基準からみたターゲットは?

普段あまりラーメンを食べないような人でも食べたくなるラーメン屋がいいな。

ラーメンを出すスピードも捨てがたいけど、品質とサービスを重要視しよう。

(5)上で挙げたターゲットが、測定可能性、接近可能性、維持可能性、実行可能性の4つの条件をクリアしているか確認してみましょう。

天王寺・阿倍野エリアは、このサイトのように人口統計のデータもたくさんあるし、お店を開けそうな空き店舗もたくさんある。実際にお店を構えて人気が出れば継続できるだろうし、チラシを配ったりするのも簡単そう。

周りの地図から見ても、学校やオフィスが多いっていうデータがあるし、実際にその人達へ直接宣伝を打つこともできそうだ。学校はなかなか潰れないし、安定した集客が見込めそう。

阿倍野区エリアは、20代以降の人数が女性の方が多いんだなぁ。内気な人かどうかについてのデータは信憑性が低いから、ちょっと難しいかも。

普段ラーメンを食べない人がどれだけいるかのデータはないけれど、その人達に食べてもらうきっかけさえ与えることができれば、リピーターになってくれる可能性はあるな。

(6)以上を踏まえてまとめてみましょう。

ターゲットは、天王寺・阿倍野エリアの、学生およびサラリーマン・OLといった幅広い年齢層がメイン、できれば女性や今までラーメンを食べようとしなかった人達も。

4.商品コンセプトを具体化しましょう。

こちらのノートから、自社の製品のコンセプトを具体化していきましょう。

まずは4Pの「製品」の視点からです。

(1)あなたが売りたい製品の核(本質的サービス)は何ですか?

ラーメンの本質は・・・やっぱり「美味しい」と思ってもらえることかな?

美味しいものを食べたいというお客さんのニーズに応えるものじゃないと。

(2)では、その本質を実現するために必要な「製品の形態」は何ですか?

まず何よりラーメンはスープかな。スープで味が変わると言っても過言じゃないぐらい。

あさりだったり、きのこだったり、旨み成分を多く含む食材で出汁を取って、その出汁だけで勝負を挑める、塩スープにしよう。

次に麺をどうするか。細麺or太麺か、ストレート麺orちぢれ麺にするか。

あっさり塩スープにはやっぱりストレート麺、でもスープが程よくからまるちぢれ麺にしよう。

他にトッピングもかなり大きいよね。トッピングは他のラーメン屋と差をつけやすいし。

チャーシュー、煮卵はありきたりだから、あさりとか帆立といった海鮮類を使っていきたい。

細かく言っていけば、それぞれの材料の品質にもこだわりたいんだよぁ。

北海道産の帆立とか、名古屋コーチンの卵とか使えばブランドがつきそうだし。

あと、ラーメンの鉢も重要になるよね。食べやすいものにするか、目を引きやすいものにするか。

(3)次に、その商品を補助する「製品の付随機能」について考えましょう。

まず、おまけじゃないけれど、ラーメン以外のメニューも必要だな。餃子とか。

でも、あまりラーメン外のメニューも、海鮮系でラーメンとイメージを合わせたいな。

あと、お店の雰囲気も絶対重要だ。ターゲットに合わせた店作りをしないと。

それに、何度も来てくれた人のためのポイントカードなんか作るといいかもしれない。

あと味を変えたい人向けの調味料なんかも重要だよね。

(4)あなたが売ろうとしている商品に、同系統の製品・サービスはありますか?(プロダクト・ミックス)

うちは塩ラーメンがメインだけど、同系統ってことは豚骨ラーメンや醤油ラーメンも出すってことだよね。もしそれをやればうちの個性が消えてしまうからやめておこう。

(5)製品の形態から、あなたの製品を分析してみましょう。

ええと、まずラーメンは消費財だよな。で、その場ですぐ食べるから非耐久財だ。

最寄品か買回品か専門品かは、ターゲットによって異なりそうだな。

飲み会の帰りにパッと食べたい人もいるだろうし、色々なラーメン屋を見比べてから食べに来るお客さんもいるかもしれない。

中にはラーメン評論家みたいな人もいるだろうけど、それは少数派かな。

お次は4Pの内、「価格」の視点から製品・サービスを具体化しましょう。

こちらのノートを参考にしてください。

(1)費用志向の点から価格を設定してみましょう。

高級な食材を多く使いたいから、どうしても高くなってしまう。

なんとか赤字にならないためには、一杯あたり最低800円は取らないとダメだ。

(2)競争志向の点から価格を設定してみましょう。

多くのラーメン屋では、600円から800円の価格設定が平均だなあ。

でも、それ以上安くするとチープ感が出るし、多少高くしてもいいのかも。

(3)需要志向の点から価格を設定してみましょう。

ラーメン好きな人からすれば、1000円を超えても払うんだろうけど、学生とかサラリーマンがちょっと寄っていくか、と思うなら1000円以下が無難じゃないかな。

(4)その製品の支払い方法について決定してください。

レジで帰りに精算でもいいけど、人件費がかかるし、回転率も落ちそう。

ここはやはり食券機を設置することにしよう。

では、上にあげた内容を簡単にまとめて製品コンセプトを具体化しましょう。

  • 極細ちぢれ麺に、貝類の旨みが凝縮された、その味をそのまま楽しむ塩ラーメン。
  • トッピングは従来のチャーシューや煮卵などに加え、海鮮類がたくさん。
  • 高級食材を使ったハイブランドなラーメン
  • 海鮮類のメニューも豊富
  • お店の雰囲気はターゲットに合わせた感じで。
  • 何度も来てくれる人にはお得なポイントカードなどの制度。
  • 味に飽きた人のための調味料も完備。
  • 他の味のラーメンは出さない。一本勝負。
  • 価格は一杯900円。精算方法は食券機で行う。

5.ポジショニングを設定しましょう。

「宣伝」「流通」の視点から、ポジショニングを設定していきます。

まずは「宣伝」の視点から。こちらのノートを参考にしてください。

(1)広告・宣伝活動をどのように行うか決めましょう。

ホームページとSNSは絶対に必要だよな。

加えて、食べログとかのネットサービスへの登録もしておこう。

他に、関西Walkerをはじめとした、ラーメン雑誌にお金を払って宣伝を行ってもらおう。

テレビ、ラジオは対費用効果が薄いかもしれないから、オープン時には厳しいだろうなぁ。

予算があれば宣伝費としてテレビ局に来てもらいたんだけど・・・

(2)営業活動について決定しましょう。

近くのお店や学校、会社などに直接足を運んで、名刺だったりチラシを置かせてもらおう。

そしてその名刺やチラシを持ってきてくれたら割引!なんかすればいいかもしれない。

(3)広報活動について決定しましょう。

とにかく「このラーメン屋がうまい!」という口コミを流さないといけない。

お客さんにTwitterなんかのSNSで拡散してもらったり、友達に広めてもらえる努力が必要だな。

(4)販売促進について決定しましょう。

まずは味を知ってもらいたいから、オープン3日まで半額の450円でラーメンを販売しよう。

あと、チラシを持ってきてくれたお客さんにはトッピングを無料で増量なんかもいいかも。

ポイントカードだったり抽選券で、ラーメン無料券を発行すると、リピーターが増えそう。

食べたい!って思ってもらえる売り文句を雑誌や名刺、チラシに書かないとなぁ。

「旨みを凝縮しすぎた、究極の塩ラーメン」みたいな感じかな?

(5)プッシュ戦略かプル戦略かを、あなたが売りたい製品・サービスに合わせて選択してください。

ラーメンの場合、事前に業者から材料を輸入しておかないと話にならないから、プッシュ戦略になるのかなぁ。

それでは、「流通」の視点からポジショニングを設定します。

こちらのノートを参考にしてください。

(1)顧客接点(どこで売るか)を決定してください。

ラーメン屋だから、店舗で売るしかないだろうなぁ。

ラーメンセットなんかをネットショップで売るのは知名度が出てきてからだ。

(2)チャネルの広狭基準(小売店の量)を決定してください。

予算的にも、まずは1店舗からスタートかな。

経営が順調に進めば、関西を中心に2店舗目をオープンできるかもしれない。

(3)チャネルの長短基準(中間業者)を決定してください。

あまり中間業者は多くしたくないな。味にバラツキをもたせたくないし、お得意様をつくっておいた方が色々と楽そうだ。

(4)中間業者に関して、開放型チャネルか閉鎖型チャネルかを選択しましょう。

上でもいったように、ブランドを低下させたくないから、閉鎖型チャネルになるだろう。

(5)垂直的マーケティングシステム(VMS)を導入するか検討してみましょう。

ラーメン屋における垂直的マーケティングシステムは、うち専門の卸売業者と考えたらわかりやすいかもな。でも、中間業者まで全て統一する必要もないし、ラーメン屋ではあまり考慮しなくていいと思う。

(6)あなたの製品がオーダーメイドの考えが当てはまるかどうか考えてみましょう。

ラーメンをオーダーメイドすることは難しいな。事前に準備していることが大前提だ。

では、上にあげた「宣伝」と「流通」をまとめて、ポジショニングを設定しましょう。

  • ホームページとSNS、食べログといったネットサービスの開始
  • 関西Wailkerを代表とした雑誌への掲載
  • 近所の学校、会社への名刺とチラシの作成および営業
  • Twitter、友人を介しての口コミ増大
  • オープン時の半額セールや、チラシなどのクーポン、ポイントカード
  • 全ての宣伝媒体のデザイン、およびコピーライティング
  • 事前に業者から材料を輸入するプッシュ型の戦略
  • まずは1店舗からスタート
  • 中間業者は特定の業者に絞る

6.ターゲットと製品コンセプトとポジショングを比較し、それぞれSWOT分析を行い、マーケティング・ミックスを策定します。

決定したターゲットは以下の通りでした。

天王寺・阿倍野エリアの、学生およびサラリーマン・OLといった幅広い年齢層がメイン、できれば女性や今までラーメンを食べようとしなかった人達も。

(1)製品コンセプトとターゲットの比較、SWOT分析を行いましょう。

まず、上でまとめた製品コンセプトは以下のようなものでしたね。

  • 極細ちぢれ麺に、貝類の旨みが凝縮された、その味をそのまま楽しむ塩ラーメン。
  • トッピングは従来のチャーシューや煮卵などに加え、海鮮類がたくさん。
  • 高級食材を使ったハイブランドなラーメン
  • 海鮮類のメニューも豊富
  • お店の雰囲気はターゲットに合わせた感じで。
  • 何度も来てくれる人にはお得なポイントカードなどの制度。
  • 味に飽きた人のための調味料も完備。
  • 他の味のラーメンは出さない。一本勝負。
  • 価格は一杯900円。精算方法は食券機で行う。

このターゲットと、製品コンセプトの比較から、SWOT分析を行います。

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①ターゲットと比較した製品コンセプトの強みとは?

学生やサラリーマン・OLはもちろんのこと、豚骨や醤油ラーメンといった、これまでのラーメンとは一線を画す、海鮮類を使ったハイブランドなラーメンを提供することで、いままでラーメンを食べてこなかった女性や高所得層を狙う。そのためにもお店の雰囲気はお洒落かつ高級なイメージ。

②ターゲットと比較した製品コンセプトの弱みとは?

サラリーマンやOLなら大丈夫だろうが、900円という値段設定は学生には少し厳しいのではないだろうか。ただ、ブランドの維持のためにも、まずは900円からスタートするのがよいだろう。

また、気候によって大きく左右する海鮮系の材料の安定した調達を可能にしなければ、値段を一定にすることができない。そうなると天然より養殖業者が現時的になってくるだろうか。

③ターゲットと比較して、製品コンセプトの販売の機会が適しているかどうか?

最近は高級な商品を買うのに抵抗の少ない、高級志向がある。強気の値段設定の方がより功を成すかもしれない。

また、増えすぎた豚骨ラーメンやつけ麺店と差別化を図ることが可能なよい機会だと思う。

④ターゲットに対して、製品コンセプトを販売する際の脅威とは?

まず間違いなく一蘭や一風堂といった大手チェーン店。ここから顧客をどう奪うのかを考えなければならない。

そして同じようなコンセプトを持つラーメン店。同じ塩ラーメンや、海鮮系を使ったラーメンが近くにないか、またそれら店舗に顧客を取られない戦略を立てる必要がある。

(2)ターゲットとポジショニングの比較から、SWOT分析を行いましょう。

まず、すでに決まったポジショニングのまとめを以下に記します。

  • ホームページとSNS、食べログといったネットサービスの開始
  • 関西Wailkerを代表とした雑誌への掲載
  • 近所の学校、会社への名刺とチラシの作成および営業
  • Twitter、友人を介しての口コミ増大
  • オープン時の半額セールや、チラシなどのクーポン、ポイントカード
  • 全ての宣伝媒体のデザイン、およびコピーライティング
  • 事前に業者から材料を輸入するプッシュ型の戦略
  • まずは1店舗からスタート
  • 中間業者は特定の業者に絞る

このポジショニングと、ターゲットに合わせたSWOT分析を行います。

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①ターゲットと比較したポジショニングの強みとは?

ホームページやSNS、食べログといったWeb上の宣伝は費用がそこまでかからない。また、SNSは学生などの若者にむけて非常に有効な宣伝手法である。

②ターゲットと比較したポジショニングの弱みとは?

どうしても宣伝にかかる費用が厳しい。雑誌に掲載してもらうためにもかなりの金額が必要。

また、1店舗しか出店できないのも厳しい。規模の経済性の恩恵を受けることができない。

③ターゲットと比較したポジショニングの機会とは?

出店地域が、学校や会社の多い地域である。また、営業のための人員であったり、宣伝のためのバイトが、学校が近いためにバイトを募集しやすい。

④ターゲットと比較したポジショニングの脅威とは?

他のラーメン店から、簡単にHPやSNSなどに、悪い噂を流される可能性がある。もちろん、お客さんから不味いという噂を流される可能性もある。

また、HPやSNS、その他の宣伝は他のラーメン店も同様に行っており、そこでどう差別化を図るかが重要になってくる。

7.マーケティング以外の知識と合わせて、実行に移す。

以上のマーケティング・ミックスを行うことで、どう出店、経営すればよいか、かなり具体的になったのではないでしょうか。

ここからラーメン店を実際に出店するには、他にも様々な知識が必要になると思います。

店員の教育方法であったり、売上の計算方法、出店のための法律の知識などなど・・・

どちらにせよ、マーケティングという一つ見方から分析を行うことは、商売を行う上で必要不可欠な作業になってくるでしょう。

あとは実際に行動に移し、上手くいったりいかなかったり、そういった知識をフィードバックしながら、もう一度マーケティング手法を考えていく、そういった地道な作業が経営者には求められます。

おわりに

これで『ミジンコでもわかるマーケティング論』シリーズは終わりです。

本当に基本の「き」の部分しか触れることができておらず、マーケティングを知っている人からすれば常識のような内容しか自分の力ではまとめることができませんでした。

そして、中学生、高校生にもわかりやすい表現を書くように努めましたが、どうしても難しい内容の箇所が増えてしまいました。そういう点に関しては是非コメントで知らせてくれればありがたいです。

これ以外にも専門的な知識があれば次々と更新していく予定です。

来年からマーケティング専攻ということで、こんな感じで研究できたらなぁ・・・

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。

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